岩手弁護士会とは

弁護士の活動

1 弁護士とは

弁護士とは,基本的人権の擁護・社会正義の実現を使命として,当事者その他の関係人の依頼を受け,または,官公署の嘱託を受けて訴訟に関する行為,その他一般の法律事務を行う者です(弁護士法1条,3条,広辞苑)。

2 弁護士の職務

弁護士が業として行う職務は,きわめて広範囲にわたっています。これを大きく分ければ,民事と刑事に分けられます。

もっとも,民事事件を行っている中で,刑事事件に発展する場合もありますし,刑事事件の中で,示談を行う場合もあるので,両者は厳然と分けられるものではありません。

また,弁護士は,様々な分野で,公益的活動も行っています。

民事法律実務

民事と一口に言っても,その中には,売買,貸金,賃貸借といった取引行為から,家事,行政,労働,医療過誤,交通事故等の損害賠償,倒産など,社会生活に付随する法律関係が広くこれに含まれます。いずれの分野についても,すでに生じた法的紛争に関与してこれを解決するのみならず,あらかじめ紛争が生じないように,あるいは紛争が生じたときのために対策を立てることも弁護士の重要な職務です。

ア 事前対策型

1 交渉
依頼者に代わって,相手方または相手方代理人と交渉を行うことで,スムーズに契約締結に至らせせかつ将来の紛争を予防するものです。売買,労働協約といった契約交渉と,許認可申請などの行政庁交渉などがあります。
2 文書作成
依頼者が決めた決定につき法的観点から検討を加え,将来紛争が生じないように,または紛争に備えて,書面化するものです。各種契約書作成,遺言書作成などがあります。
3 意見・鑑定
公平な第三者的立場から,法律事項等に関し,意見を述べ,あるいは,専門的知識・経験から鑑定を行うものです。
4 助言・指導
現在ある事実関係を法律的に分析して,取るべき対策等につき助言・指導を行うものです。法律相談や株主総会への助言などがこれに当たります。
5 立ち会い・認証
6 登記・登録
7 その他
会社の監査役や,会社設立,合併事業,M&Aなどのプランニングなどです。

イ 事後処理型

1 助言・指導
すでに紛争の渦中にある人に対し,取るべき対策手段などを助言・指導するものです。
2 交渉
法的紛争の相手方,またはその代理人と交渉することで,争点を整理した上で,紛争解決を目指すものです。
3 遺言執行
相続は,社会生活上さけられない事象ですが,それだけに紛争が生じる例が多いのも事実です。相続人同士の争いをさけるためにも,遺言書を作成しておくべきですが,さらにその遺言が確実に実行されるために遺言執行者を指定することができます。法律事務に精通した弁護士を遺言執行者に指定することで,スムーズに遺言を実行することができます。
4 破産処理
弁護士は,債務者の申立代理人として債権者との交渉,申立事務手続きを行い,あるいは,債権者の代理人として債権の届出・確定・配当のための事務を行います。また,裁判所から選任されて破産管財人として,破産手続を主催する役割も果たします。
5 財産管理人,特別代理人等
財産を管理する者がいなかったり,本来財産を管理する者と財産の所有者が利害対立する場合に,財産の所有者のために公正な立場から,その財産の管理・処分をする役割です。
6 行政手続,行政審判
行政行為に対し,不服申立を行ったり,不正競争や労使間紛争について行政委員会に申立を行ったりする活動です。
7 家事手続
結婚,離婚,相続など,家族法・相続法についての紛争(家事事件)につき,調停,審判などの手続を追行する活動です。
8 和解・調停・仲裁
法的紛争につき,当事者双方がお互い譲り合って話し合いで紛争を解決することを和解(または示談)といいますが,当事者の代理人として交渉する役割を負います。
調停・仲裁とは,当事者双方の間に入って紛争解決のための助言・紛争解決案を示すものです。
9 訴訟(保全・執行)
弁護士の職務としては,もっとも有名で代表的な活動です。証拠の収集,保全活動から始まり,訴訟の申立(提訴),準備書面の作成・提出,証拠調べ(特に証人尋問),判決の実行(執行)など訴訟の各段階で活動します。

刑事法律実務

刑事事件における弁護士の活動は,大きく分ければ,起訴前(捜査段階)の活動と,起訴後(公判段階)の活動に分けられます。

1 起訴前(捜査段階)の活動

我が国では,起訴前(捜査段階)において,自白偏重の取調がなされるため,捜査官による不当な圧力,詐術,ときには暴力が行なわれることなどにより,虚偽の自白を求められることが往々にしてあり,しかも,一度虚偽自白をすると,裁判で取り返しがつかないまま,誤った事実に基づく判決(その典型例は冤罪)がなされるおそれが大きいです。

そのため,起訴前弁護としては,黙秘権の行使や,不当取調への対応など,冤罪防止のための活動を行ないます。

また,犯罪事実に争いがない場合でも,示談等被害弁償を行ったり,処分に対する意見を述べるなどして,適正妥当な処分がなされるように努めます。

起訴前の弁護人の選任は,原則として私選弁護人(被疑者等が弁護士報酬を支払って選任する弁護人)となりますが,2006年10月から,一定程度重大な犯罪については,被疑者段階からも国選弁護人(国費で選任される弁護人)を選任できる制度ができました。

2 起訴後(公判段階)の活動

公判段階においては,弁護士は,被告人の主張を法的に構成し,被告人に有利な証拠を収集・提出し,証拠に基づいた法的判断についての意見を述べ,被告人が適正妥当な処分(無罪判決を含む)を受けることができるように活動します。
また,被告人が身柄を拘束されている場合は,保釈等により,できるだけ早期に身柄を解放することを求めていくことも,重要な弁護活動です。

刑事裁判において,刑事被告人に弁護人を依頼できる権利があることは,憲法により確認されていますが,弁護士費用がないために弁護人を依頼できないというのであれば,この権利は絵に描いた餅であるので,これに実効性を与えるためにつくられた制度が国選弁護人制度です。これは,公費で弁護人をつける制度であり,裁判所が選任します。
活動内容は私選弁護人と全く変わりなく,あくまで被告人の利益のために活動します。

公益的活動

弁護士は,その法律専門家であることから,様々な分野で公益活動に携わっています。法律が生活の中でウェイトを占めていくほど,このような公益的活動はますます増えていくのではないかと思われます。以下では,そのいくつかの例を挙げてみましょう。

1 行政委員会,外部委員会などの委員

県の行政委員としては,地方労働委員会,公安委員会などで,弁護士が委員の一人となっている場合があります。また,刑事施設視察委員会,日常生活自立支援事業の契約締結審査会などにも,弁護士が配置されています。

2 論説委員

マスコミなどで,法律分野に関する論説を行います。

3 調停委員

裁判所の調停委員の中には,経験豊かな弁護士が選ばれるときがあります。

4 各種講演活動

法律問題だけではなく,憲法,環境,福祉,教育など,様々な内容の講演を行います。